『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』先行販売
予約販売『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』
予約件数 35件 金額86,500円
残り39日 更新日時 2024年11月1日20:00(手動)
書籍『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』(西葛西出版)の予約販売を実施いたします。略して『君J』です。
この企画は、著者が日本全国に散らばるJリーグクラブの本拠地を「徒歩で一筆書き」にすることを目指しています。5〜10年かかる見込みですが絶対にやりとげたいと思っています。
単に歩いて行くだけではなく、ホームタウンを文字通り全身で感じた上での紀行文を綴っていきます。
今回出版する予定の第一巻では、柏レイソル、ジェフ千葉、ブリオベッカ浦安、鹿島アントラーズのホームタウンを訪れています。
具体的にいうと、江戸川区西葛西発、柴又経由での柏、北柏、鎌ヶ谷、船橋、幕張、蘇我、市原(五井)、佐倉、成田、佐原、香取、神栖、鹿島あたりです。
旅の過程は、こちらに記録してあります。ブリオベッカ浦安については、現在ホームタウンが使えないので市原での試合を観戦しました。
旅LOG『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない!!』<徒歩日本一周、12日間、266km、38万歩>
また、地域リーグのクラブをすべて訪れるわけにはいかないのですが、近くを通りかかったときに簡単でも紹介するようにしています。書き出すとキリがないので簡単な紹介になってしまいますが、お名前を出させていただいたクラブはいずれ訪れたいと思っています。
東京23FC、南葛SC、市川SC、松戸シティ、Nagareyama F.C.、房総ローヴァーズ木更津、VONDS市原、FC習志野、Narita Unitedなどなど。
OWL magazineのYouTubeや、中村慎太郎のXでの投稿などをご覧になって、ご興味を持っていただけた方は、この予約販売ページを是非ご一読頂きたいです。よろしくお願い致します。
神栖で食べた上品かつ濃厚な朝ラーメン。
予約販売プラン一覧
<ご挨拶と予約販売の趣旨>
改めまして、中村慎太郎です。
この本の著者であり、版元となる西葛西出版の代表でもあります。ライター・作家としてデビューをした2013年以来、観客あるいはサポーター目線でサッカーを描くことをライフワークとしています。
ただ、こういった目線の記事には現状ではあまり需要が大きくないため、類書が少なく、今後も執筆活動をしていくのが難しい状況でした。そのため、2019年に旅とサッカーを紡ぐWEB雑誌OWL magazineを創刊、2021年に株式会社西葛西出版を創業し、自分が心から価値があると思う本を出版していける体制を作りました。
ただ、これが実に大変で……。
恐らく『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』が無事に出版できなかったり、出版できたとしてもまったく売れないということになってしまったら、会社を畳むことを検討せざるをえなくなると思います。
そういう意味で崖っぷちです。
隠すことはないので資金状況についてお話します。率直にいうと「印刷費」が捻出できない状況です。
今年6月に実施した「先行販売」においては78名様から695,235円のご支援を頂きました。ご支援頂いた皆さま、本当にありがとうございました。おかげさまで出版の直前までは進むことができました。
具体的にお金の話をします。ここから手数料を引くと、約55万円が手残りとなります。
この55万円の使い道として、取材の諸経費とカバーイラスト、挿絵などのデザイン費にあてさせていただきました。そのおかげで、あともう少し制作を進めたら、印刷するという段階まで持っていくことができます。あまり具体的にするとデザイナーさんの報酬額がわかってしまうのでぼやかさせていただきますが、10万円以下の残金はあります。しかし、印刷費にはまったく足りていません。
かなり時間がかかってしまいましたが、会社として取り組む最初の「単著」ということで、実際のところ難航しています。年内発売を目指していましたが、現在は2月発売を目指しています。
著者としても自信を持った原稿が作れていますし、企画の趣旨も、今後の国内サッカーの発展と、サッカーにかかわる多くの方の幸福に寄与できるものになっていると感じています。
現状の問題は「印刷・製本費」がないことです。「印刷・製本」にかかる費用は、西葛西出版からの既刊『すたすたぐるぐる』シリーズでは、2000部の印刷で53万2400円(埼玉編)、64万4600円(信州編)でした(税込み)。埼玉編は224ページ、信州編は272ページで、価格の差は主にページ数の差です。
ページ数は一般に16の倍数で刻まれます。これは大きな紙(A0とかB0)を折りたたんで裁断して使うため、16、32、48……208、224、240、256、272とページ数が増えていきます。どの本でも半端なページが出ることが多いので、広告を入れたり、コラムを入れたりして埋めています。あるいは縮めて少ないページ数に収めるようにします。
『君J』は、恐らく信州編と同じくらいの分量になります。なので272ページ、65万円の水準です。そして、現在はインク代、紙代が高騰しているとのことなので、もう少しかかる見込みです。つまり、60〜70万円程度が不足しています。
この金額を何とか集めようと、西葛西出版でのライター案件の受注を増やすなどしてきたのですが、どうしても印刷費用の工面が出来ていない状態です。
私がタクシードライバーに復帰して資金を稼ごうと考えたのですが、書籍制作と同時並行するのは難しく実行できませんでした。書籍が一段落したあと、事務や営業を相棒のあしか氏に任せて、タクシーに復帰しようと思っています。1月半ばから2月を予定しています。復帰したら会社が安定するまで2〜3年は務めたいと思います。
『君J』がある程度順調に売れたとしても、タクシードライバーをしながら自分の収入を得ないと、どうにもならなそうなので、いずれにせよ復帰はするつもりです。
以上のような理由から「自前のクラウドファンディングシステム」を使って、予約販売を行いたいと思います(労力はかかりますが、手数料は最少です)。
書籍の発送については、印刷費の工面がつけば、早ければ年末ギリギリ。遅い場合にでも新年あけて2〜3月にはお届けしたいと思います。
印刷費の工面がつかない場合には、場合によっては、タクシードライバーや日雇いのバイトなどで工面してからの出版となります。その場合の制作状況については、ご登録頂いたメールアドレスにご報告いたします。
本来であれば自社資金でしっかり本を作れるようにしておくべきなのですが、恥ずかしながらまだそういう状態までもっていけておりません。
ただ、これまでのサッカー界にはなかった、最高に面白い、最高に有意義な書籍を作って、まずは日本中にJリーグがある日常の価値を強く訴えていきたいと思います!!
我々の活動や、書籍『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』にご興味を持っていただいた方がいましたら、是非以下のコラムをお読み頂ければと思います!!
というわけで……
5行でわかる『君J』予約販売!!
・タイトルは『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』・Jクラブのホームタウンを「徒歩&一筆書き」でめぐる日本一周の旅
・10年かかっても歩き抜く「現代の伊能忠敬型コンテンツ」で、各地の見所や地名紹介、食レポ、酒レポなど多数!
・近刊は「東京〜柏〜千葉〜鹿島をめぐる12日間、266.5km、38万歩の旅」
・「特典たっぷりの予約販売」はじまります!!
伊能忠敬が生まれ育った街、香取市佐原。
コラム「歩いてホームタウンをめぐるとジェフ千葉の幸福さ、鹿島アントラーズの強さがわかる」
※選手名敬称略
「Jリーグは終わってしまった」
こんなことを言っている人を見かけたことがあると思います。特にネット上だと、日本サッカーがいかに盛り上がっていないかを熱心に語る方がいます。
普段から国内サッカーに親しんでいる身からすると、こんなに面白いし、お客さんも入っているのに、どうしてそんなことを言うのだろうと感じるし、言い返したくもなります。しかし、言い返したところで、それは徒労に終わることでしょう。
我々がサッカーから享受している楽しさ、喜びを体験してもらうためには、スタジアムまで来てもらう必要があります。その上で注意深くサッカーを観戦したり、熱心に応援したりする必要があります。
こういったハードルは非常に高く、「サッカー派」と「非サッカー派」の溝は深まるばかりです。これはサッカーだけの話ではなく、色々な分野で言われていることです。来てくれたら魅力が伝わるのに、来てもらうのが難しいわけです。
1993年、Jリーグの開幕とともに大ブームが訪れましたが、すぐに収束してしまったため、その後は細々と続けている状態に見えるのでしょう。
さらにいうと、チーム数が増えたことから、全体像が理解しづらく、考えるのも面倒くさいという声もあります。
そういった「複雑でわかりづらいJリーグ」と真っ正面から格闘したのが、書籍『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』です。
国内サッカーで唯一? ブリオベッカ浦安のマスコット、舞田べか彦さんが水たまりを避ける!!
私はJリーグに惚れ込んでから10年間、Jリーグの価値、魅力を発信しようと努力してきました。しかし、どれだけやっても決定的な成果を出すことはできませんでした。
具体的にいうと、「サッカー派」に支持されるものは書けても、「非サッカー派」にまで波及させていくことが極めて難しく、成功しているとは言いがたい状態です。
国内サッカー全体の問題として考えた場合でも、このテーマを突き抜けることができたのは、初期のJリーグ&日本代表ブームと、日韓W杯や南アフリカW杯の前後の日本代表くらいでしょうか。
国内リーグを「非サッカーファン」へと波及させる試みは、もちろん関係者が日夜努力をしてきていますし、少しずつですが成果はでていると思います。おかげさまで、私はとても幸福な日々を送ることができています。一方で、書籍や動画などのソフトコンテンツにおいて、「非サッカーファン」へと波及していく破壊力があるものは、多くないと言えます。
だからこそ、そこに物書きとしての自分の使命を見いだしました。
私は、夢見ています。
日本全国ほとんどすべての人が、地元のチームを中心に贔屓のサッカークラブをもっていることを。
犬の散歩をしている人が挨拶をして立ち話をするように、お互いのお気に入りクラブの話題を交換するような世界を。
そのために、私はずっと考えてきました。
サッカーの魅力を伝え、彼岸との間に刻まれた深い溝を跳び越えるにはどうしたらいいだろうか、と。
その答えがサッカーという競技だけではなく「地域性」へと深く沈み込んでいくことです。
「地方創生」というキーワードが政府から発せられたこともありましたが、人口は東京などの都市圏に集中する一方で、地方の人口は減少し、衰退を続けています。
こういった状況を打破する唯一無二の最強ツールがサッカーです。
現在、Jリーグを頂点とした国内サッカーでは、「地域密着」のかけ声のもと、次々と新しいサッカークラブが増えています。
まず、J1からJ3までのJクラブが60あります。そして、Jリーグ入りを目指すJFLクラブと地域クラブをあわせて47クラブです。さらにJリーグ入りを目指すと標榜している都道府県リーグ所属の60クラブをあわせると、合計で167クラブとなります。
地域カテゴリーのクラブがどこまで本気でJリーグ入りを目指しているかは、クラブによって濃淡があると思います。
こういった傾向について、僕はよいことだろうと思っています。
サッカーは人の幸福度を高める力を持っています。
幸福の定義として、自殺しようとは思わない状態のことを指すとするものがあります。つまり、不幸だと感じるから自殺をしてしまうというわけです。
私はサッカーを見始めてからというもの、自殺願望は欠片も持ったことがありません。思い出したくもないようなことがあった厳しい10年でしたが、この国のサッカーの行く末、順位表の変動、昇降格の行方などを、寿命の続く限り見届けたいと思っています。
サッカーは人から孤独を奪います。
人は「縁」を頼りに生きていますが、具体的に言うと、血の縁、地の縁、人の縁です。Jリーグを作ったお偉いさんがそこまで想定していたかはわからないのですが、地域密着を打ち出しているため、我々サポーター、観客としても、Jリーグクラブを応援することによって「地の縁」が強まります。
それに伴って「人の縁」も強まっていきます。その繋がりは非常に強く、血の縁とは言いませんが、家族のようだと感じる人は実際に多いようです。
我々現代人は、整然と構築された近代国家のシステムの狭間で、孤独に悩み、アイデンティティを脅かされます。しかし、サッカークラブとともに歩むだけで、我々は生きる意味が明らかになり、共に生きる仲間もできるわけです。もちろん、仲間との縁の深さは、人によります。人によってどれだけ深い繋がりを求めているかは異なるからです。
サッカーは何が起こるかわからない競技で、みんなで不安になり、みんなで語り合い、みんなで時には悲しみ、時には喜びを爆発させる競技です。だから仲間ができるのです。こんなに面白くて価値のあるものは、私にとっては他に何もありません。
とはいっても、私はサッカー選手や戦術などにはまったく詳しくありません。もちろん勉強していけばわかるようにはなるでしょうが、「知らなくてもサッカーは楽しめる」という立ち位置でいるため、敢えて深くは入り込んでいません。だから、私はいつもサッカー選手の名前が思い出せないし、どんなフォーメーションで試合していたかもあまり気にしていません。
さて、2023年、ジェフ千葉のホームスタジアム「フクダ電子アリーナ」を訪れました。幕張から五井まで歩き、ゼットエーオリプリスタジアムで試合をみたあと、再び蘇我まで歩いて戻りました。
正直言って、ジェフ千葉のホームタウンを訪れるのは怖いと感じていました。
ジェフ千葉は、J2に落ちてから14年目のシーズンを送っています。ジェフ千葉に期待する声を聞かなくなって久しく、J1で優勝争いをするようなクラブには2度と戻れないだろうという意見すら出てきていました。
私が訪れた4月16日の東京ヴェルディ戦の際には、ジェフ千葉はなんと22チーム中21位という成績でした(9節終了時)。
もしかしたら、サポーターが野次やブーイングを飛ばしている嫌な光景を見るかもしれない……。あるいは、ブーイングや怒号すらないお通夜みたいな状態かもしれない……。
Jリーグの良いところを紹介したいのに、見たくないものを見てしまったとしたら、その時は嘘をつくか、見なかったことにするか、それとも現在地としてしっかりと見たままは記録するか。信念として嘘はつかないのだけど……。
そう考えつつも訪れたフクアリで見たものは、まさしくフットボールの本質!!
この競技が、千葉にある意味を強く感じさせるものでした。詳しくは書籍の中に書きますが、Youtubeでも語りました。ここで語った内容を、結晶化して文章にします。
【Youtube動画・音声のみ】ジェフ千葉とフクアリが素晴らしすぎた件
トークとしてアイデア出ししたものを、丁寧に蘇我付近やフクアリの描写をしながら、読者がみんな自然とジェフ千葉の素晴らしさ、Jリーグの価値を気付くように、一字一句丁寧に紡いでいきます。
Youtubeに出ているのだから文章にしなくてもいいではないかとお思いになる方もいると思います。商業出版として書籍を刊行すると、国立図書館をはじめとした全国の図書館に資料として蔵書されることになります。普段はJリーグについて関心を持たない人であっても、「徒歩旅」というアプローチであれば読んでくれる可能性はあります。
ジェフ千葉の価値、Jリーグの意義を、文化として歴史に刻みつけることが可能になるわけです。またそれらを、今回の本については、千葉県、茨城県を中心とした地元の本屋に並べてもらうこともできます。そういった意義もあるので、歯を食いしばって出版にこだわっています。
もちろんジェフ千葉は一例で、こういった試みを全国各地のJリーグクラブについてやっていきます。それが私の人生を賭けた仕事です。10年以上かかる上に、自分だけではなく家族の生活まで考えないといけないので文字通り人生かかっています。
もっとも家族、子どもたちは、サッカーを夢中で追って、Youtubeでも楽しそうに話しているパパのことが嫌いではないようで、サッカーに行こうというと喜んでついてきます。スタグルのかき氷やアイスクリームが目当てで、試合にはあまり関心がないのですが、これもサッカーの形です。
国内屈指の快適性。完璧なスタジアムの一つ、フクダ電子アリーナ。
サッカーは最高です!!
こんなに高機能なスポーツ、エンタメはなかなかありません。生まれた場所、育った場所、縁があった場所。それらとの繋がりを深め、生きている実感を与えてくれる最強のツールがサッカークラブです。
もちろん、サッカーではなくて、お祭りや、他のスポーツなどでも代替することはできます。しかしながら、日本全国、あるいは世界中で、同じフォーマットの競技が行われていて、広く対抗戦が行えるのはサッカーだけだと言えます。
フクアリといえばのソーセージ盛り。
次に鹿島アントラーズの話をします。
今回は、佐倉→成田で一泊、成田から佐原まで歩いて一泊、佐原から神栖で一泊、息栖神社を経てカシスタへと向かいました。鹿島神宮には試合後に訪れました。
茨城県の東端、茨城の中でも僻地と言える「鹿行」にある鹿島アントラーズは、国内では19の主要タイトルを持つ国内最高のクラブの一つです。
鹿島アントラーズは、2016年のクラブワールドカップ決勝で、レアルマドリードと試合をしています。
この試合はテレビで視聴していたのですが、凄まじい展開に目が離せなくなりました。
カリム・ベンゼマに先制されながらも、柴崎岳が2点を取り返し、1−2とリードします。この試合はレアル・マドリードの勝利に対するオッズが1.1倍程度であったの対して、鹿島アントラーズが90分で勝利することに対するオッズは20倍程度であったそうです。
サッカーの中心地はヨーロッパで、日本は極東にある田舎です。
その日本の中でも極東にある茨城県のサッカークラブが、いや、茨城県の中でも極東にある「鹿行」のサッカークラブが、世界最強のレアル・マドリード相手にリードを奪いました。
しかし、鹿島アントラーズの前にクリスティアーノ・ロナウドが立ちはだかりました。
結局はクリスティアーノ・ロナウドに3得点をされ、延長の末に敗れることになりました。鹿島アントラーズとしては、延長に持ち込むのが精一杯であったのでしょう。
このような試合内容でしたが、国内のクラブがレアルマドリードをすんでのところまで追い詰めるのをみて、心が躍ったのをよく覚えています。
ところで、どうして鹿島アントラーズはここまで戦えたのでしょうか。
J1と、ラ・リーガのレベルの差は非常に大きいと言わざるをえません。サラリーの額面も10倍以上差が付いているはずです。得点を決めた柴崎岳選手は、日本代表としてワールドカップに出場する選手です。ただ、この翌年にスペインへと移籍したものの、めざましい活躍をしたとはいえず、2部でプレーする期間が長くなりました。
もちろん柴崎岳選手は日本人選手としては文句なしに素晴らしいのですが、レアルの同じポジションはクリアチアの英雄ルカ・モドリッチです。実績や評価で言うとはるか格上の選手です。
ルカ・モドリッチは、2022年カタールW杯、2018年ロシアW杯でも獅子奮迅の大活躍をしましたが、2016年は30歳前後。紛れもなく全盛期です。2018年にはバロンドールも受賞しています。ともに中盤を支えるのは、ブラジル代表のカゼミーロと、ドイツ代表トニ・クロース、サイドバックには、超攻撃的なブラジル代表マルセロも控えています。
そしてこの時のエースストライカーは、プロ通算968ゴールを決めるクリスティアーノ・ロナウドです(2023年現在)。
2015−16シーズンは48試合51得点15アシスト、2016-17シーズンは46試合42得点12アシストを記録しています。
この時のレアル・マドリードは、世界一豪華なクラブの一つであったことには疑いの余地がありません。単純に戦力だけを見るならば、レアルマドリードが5−0で勝っていてもおかしくないと言えます。
しかし、この日の鹿島アントラーズは本当に強かった!!何故か!!
現代のサッカー論壇では「戦術論」という糸口から考え始めることが多いです。弱者である鹿島アントラーズがどういう戦術を取って、強者であるレアル・マドリードに対抗したのかを、軍師による戦術論として考察するわけです。
恐らく監督やコーチ、分析員、選手においては、戦術論は非常に重要です。現場レベルで、どういった戦術を取るかがシビアに考えられていないと、到底互角には戦えません。
鹿島の監督石井正忠が、レアルの監督ジネディーヌ・ジダンにどう対抗したのかという話は、実に興味深いです。ライター目線でいうとサッカー記事が作りやすいし、詳しい人ならばずっと語っていられる楽しいテーマです。
しかし、サッカーの試合は、戦術と戦力だけで決まるものではありません。
鹿島のGK曽ヶ端準は、世界最高クラスのシュートを何度もはじき返しました。CBの植田直通、昌子源のコンビは、後のバロンドールを取得することになるカリム・ベンゼマに食らいつき続けました。実力以上のものがピッチで表現できていたと思います。
鹿島の選手達はどうしてレアル・マドリードに食らいつくことができたのか。
一般論として、レアル・マドリードのほうが戦術においても上だと言えます。ジダンは、戦術論で名前があがることこそ少ないですが、監督として迎えた「決勝」で一度も負けたことがないという極めて勝負強い監督です。
そういった中で、絶対に勝つという気迫を込めて、試合に向けて準備してきたからこそ、レアル・マドリードを追い詰めることができたのではないかと思います。
戦術分析記事には、試合を見た感想を、専門用語を使ってふんわりと語るという方法を取るものが多いです。それは後出しじゃんけんのようなもので、それほど難しい語り口ではありません。もちろん中には何試合もしっかりとみて、仮説検証的に紐解いている高度な記事もありますが、そこまで手の込んだものはJリーグだとあまり見たことがありません。
あとから感想戦をするのとは異なり、コーチ陣や選手が、試合に備えて、相手の戦力、戦術を分析すること、あるいは、当日どのように試合を展開してくるかを予測して、対抗する戦術を構築していくのはまったく別次元の難易度となります。
外野があとから解釈するのと、現場が未来に対処するのはまったく別次元の話なのです。強いチームが何をしているのかを分析するのはある程度できますが、現実に強いチームを作るのは極めて難しいわけです。
試合の戦術分析記事は、早い人なら試合後数時間で書けると思います。一方で、試合に向けた戦術構築は、そんなに簡単には終わりません。試合を見るだけでも10試合、20試合と見ることになるはずですし、選手一人一人のスカウティングにも手間がかかるはずです。
例えば、マルセロと対峙することになる西大伍に対して、マルセロの得意とする動き、注意するべき動き、弱点などをレクチャーする必要があります。そのために、マルセロのプレーをまとめた動画を製作して、分析員やコーチと共に確認するという作業が必要です。
西大伍と遠藤康のいる右サイドは、マルセロ、トニ・クロース、クリスティアーノ・ロナウドを抑える必要があり、ここを抑えないことには絶対に勝利ができない試合です。ボランチの右側は守備よりも攻撃に特化している柴崎岳なので、右サイドについてはかなり気を焼いたと思います。
僕は戦術については詳しくないのでこのへんにしますが、何にせよ、コーチ、スタッフ、選手達が、試合当日までにしっかりと準備をしてきた可能性が高いです。
では、どうして鹿島アントラーズが戦えたのか。スタッフを含めて万全の準備をすることができたのか。
鹿島が伝統的に戦うチームであったこと、ジーコが勝利への渇望を植え付けたことなどが解釈として言われることが多いように思います。もちろん、それらも大いにあるはずです。
僕は、今回の徒歩旅で鹿島アントラーズが強い理由を見つけました。
10年来の疑問がすとんと腑に落ちたと言ってもいいと思います。
というのも2013年、カシマサッカースタジアムを訪れてブログ記事を書いています。この記事はサッカー本大賞2015を受賞した『サポーターをめぐる冒険』(ころから)にも改稿して掲載しました。
鹿島アントラーズの戦闘的なチャントと応援姿勢について【Jリーグサポーター考察】
<2013年に撮影したもの、場所はもちろんカシマサッカースタジアム>
更新日時は2018年になっていますが、書いたのは2013年です。鹿島アントラーズがどうして強いのか、当時の見識で必死に考察しています。
ただ、この考察には、あるものが欠如しています。何かが不足していたことを感じていたせいもあってか、自分ではあまり自信がもてていませんでした。だから、この10年間、鹿島について語るのを恐れ、逃げてきたような気がします。
日本一周の旅は西からはじめても良かったのですが、敢えて東の鹿島を選びました。その理由は、10年間の経験を踏まえて、もう一度偉大なる鹿島アントラーズと向き合いたかったからです。
浦和レッズという存在はサポーター論からかなりの部分を解決することができるように思います。一方で、鹿島アントラーズはそうはいきません。アントラーズの強靱さを説明するためには、「地域」を感じる必要がありました。
茨城の皆さん、あるいは千葉県北東部の皆さんは、口下手な方が多いようです。だから、「地元には何もないよー」という語り口をしがちです(どこの地域でもそうなのですが茨城県は特にその傾向が強い)。しかし、それが大間違いだったのです。
鹿島アントラーズは、鹿嶋市、神栖氏を中心とした鹿行にあるから強かったのだと気付きました。
佐原出身の鹿島サポに教えてもらったのは、旧県名で新治(にいはり)県といわれるエリアに相当するのだそうです。
このコラムの段階では、具体的なところまで踏み込みませんが、この地域の力が、鹿島アントラーズを最強のサッカークラブへと仕立て上げたのです。それは目に見えないものです。観客数とか、稼いでいるお金とかからは見えません。
「本当に大切なものは、目には見えないものなんだ」
『星の王子様』でキツネはこう語りました。その目には見えないものを感じられたのが、歩くという移動手段を選択したことから得られた最大の成果です。
小見川大橋を渡り利根川を、息栖大橋を渡って常陸利根川を歩いて渡っているとき、私の目の前に広がっていたのは、まさしく神様がいる街でした。千葉県から茨城県へと辿りついたときの感動は、生涯忘れることはないでしょう。
<写真だけでは伝わらないので文章を書くしかない!!>
そしてそれは、どこか地味で不人気と言われる茨城県が、光り輝くワンダーランドへと変わった瞬間でした。車や電車で移動していると色々なものを見落としてしまいます。スマートフォンを覗いている間に、あっという間に景色が変わります。
僕の考えは、「鹿島アントラーズは何もないところにある」とか「地の利がない」というような一般的な意見とは正面から対立することになります。
だからこそ非常に重要だと考えているし、丁寧に考察していく必要があると思います。その実証過程が、『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』です。もちろん小難しい本ではなく、ポップな文体で書いた紀行文なので読みやすいと思います。鹿島に辿り着いたら、ちゃんと鉾田のローズポークも食べています。食レポの嵐です。
<丁寧に脱水されたローズポークの燻製肉が疲れた身体に染み渡っていく>
このコラムでいくら鹿島アントラーズのホームタウンがすごいといっても、恐らく納得してもらえないと思います。しかし、僕の足跡を辿っていくと、自然とそれに気付くようになっていると思います。
人の縁をつむぐジェフ千葉。
強力な地の力に支えられた鹿島アントラーズ。
それでは柏レイソルはどうなのかというと、この2者の中間系ともいえるかもしれません。柏という地には鹿島とはまた質の違った地の力があるように思います。それは、柏の周辺が今も人口が増えていて、新しいサッカークラブが次々と生まれてきていることからもわかります。
そういった観点からすると、東葛の盟主としての柏レイソルというまた違った姿が見えてきます。この書き口についても、東葛から葛南へと徒歩で進んだからこそ見つかったものです。
柏レイソルは優勝経験もある偉大なクラブですが、最近は少し勝てなくなっているように思う方も多いと思います。しかし、それは違うのです。
柏レイソルは、この先10年、20年先に輝きを増していくクラブなのです。
<これが噂の柏熱地帯!!>
そういったことも歩いているとわかってきます。スタジアムのキャパシティや老朽化などの問題は解決する必要はありますが、極めて未来が明るいクラブだと言うことができます。最初は悩みました。
柏は典型的な東京のベッドタウンだから書くものがないのではないか。
千葉県を歩いても何も見つからないのではないか。
茨城にいってもロードサイドのファミレスくらいしかなくて面白くないんじゃないか。そんなことを考えました。
しかし、試合というものはやってみないことにはわからないのです。
12日間歩いた結果、この企画は間違っていないことを確信しました。これを続け、全国を歩き通すときには、サッカーという競技への認識が大きく変革されることでしょう。
『君J』はパラダイムシフトを引き起こす力を持った書籍だと考えています。もちろん、セールスとして大コケする可能性もあります。それでも勝つために全力を尽くす、少しでも可能性があるなら、最後まで走るというのがサッカーという競技から教わったことです。
私は絶対に諦めません。だから、皆さんこの本を是非買って下さい。もしつまらなかったら酷評していただいても構いません。「どうしても許せないつまらなさ!!」ということなら私費で買い取りますので連絡してください。
しかし、そういうことは起こらないと、自信を持って言えます。私が叙述しているのは、Jリーグが30年以上かけて培ってきたもの、いや、日本サッカーが戦前、戦後に積み重ねて来たものだからです。
『君がJリーグを認めるまで、僕は歩くのをやめない』の予約販売、是非ご協力をお願い致します。
既に前回にご予約いただいている皆さまも、この記事のシェアだけでもしていただけると大変ありがたく思います!!
よろしくお願い致します!!
著者 中村慎太郎
著者プロフィール
中村慎太郎1981年5月、東京都江戸川区葛西・西葛西エリアに生まれ育つ。
私立安田学園高校。東京大学文科Ⅱ類→文学部倫理学科。
東京大学大学院大気海洋研究所でアワビ類の行動比較について研究。
博士課程2年で中退し、サポーター目線でのサッカー記事を書き始める。
『サポーターをめぐる冒険』(ころから)がサッカー本大賞2015。
2019年、旅とサッカーを紡ぐウェブ雑誌OWL magazineを創設、代表。
2021年、株式会社西葛西出版を創業。代表取締役、編集者、著者、Youtube出演。
ネット番組にてW杯の実況・解説を務める。2018年ロシアワールドカップ ニコニコ生放送2022年カタールワールドカップ ゲンロン(シラス)
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この記事はインタビューのかずみさんが叩かれるようなことがないように最大限配慮しつつ、彼女のダイナミックな部分と恋する乙女感を表現する構成になっています。言いたいことによって表現方法まで変えられるのがライターとしての強みです。労力を考えるとこのお値段だと格安です!!是非この機会にどうぞ!!
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・手書きのメッセージ
・ポストカード3枚
・希望者は巻末にお名前を掲載します ※本名、会社名、店名(屋号)など
・中村慎太郎と一緒に楽しい飲み会へ!
[ZOOM/ドライブ/新宿ゴールデン街]など
(1回のみ。詳細は相談・2時間程度)
※画像はイメージです。
(送料込み)